摂食嚥下障害

摂食嚥下障害とは

食べこぼす、むせやすい、食事に時間がかかる、丸飲み、のどがゴロゴロ鳴る、飲み込めない、薬が飲めない、よく熱がでる、痰が多い、窒息、などの症状、ありませんか?このような症状がある場合、ものを食べる、飲み込むこと全体に障害(摂食嚥下障害)のある可能性があります。
誤嚥という言葉をご存知でしょうか?誤嚥とは、食物や唾液が気管から肺の方へ侵入する現象をいいます。
一般的にお茶などを飲んだときにむせることがありますが、「むせる」ことは、気管に入りかかった空気以外の異物を排出しようとする生体の防御反応です。
しかし、気道の感覚が低下していると誤嚥していてもむせないことがあります。
それを「むせのない誤嚥(不顕性誤嚥)といいます。
むせないからといって必ずしも安全ではありません。
誤嚥によって引き起こされる肺炎を、誤嚥性肺炎といいます。老人の肺炎の7割は誤嚥性肺炎といわれています。
口の中の清掃がうまく出来なくなった場合、細菌の数が増加します。
その細菌の塊を唾液、食片や痰といっしょに誤嚥することが、誤嚥性肺炎の大きな原因です。
むし歯、歯周病の予防だけでなく、肺炎などの呼吸器感染症を予防するためには、日常的な口の清掃が不可欠です。

摂食嚥下障害のメカニズム

治療方法

当院では、飲み込み治療を専門にされている歯科医師(大阪大学歯学部 顎口腔機能治療部)とともに、『NPO法人 摂食介護支援プロジェクト』での研修を修了した、認定歯科医師、認定歯科衛生士による訪問治療をしています。口から食べること、飲み込み、呼吸、会話などに障害があると、寝たきりが進み、口を使わないと筋力が低下し、関節が固まり、どんどん口の機能が低下します。
削る、詰める、入れ歯などの治療だけではなく、口腔内清掃、マッサージ、リハビリを含めた、器質的、機能的口腔ケアをおこなうことで、できる限り長く、口から食べることができるよう、取り組んでいます。

嚥下内視鏡検査

嚥下内視鏡検査とは、鼻の穴から細い内視鏡を挿入し、のどの様子をモニターに映した状態で食事をし、飲み込みの状態を確認する検査です。
嚥下内視鏡検査では、普段の食事を再現しての検査が可能です。口からのどに流れてきた食物の状態(どのくらい咀嚼できているのか、どのくらい唾液と混ぜ合わさっているのか)を実際に映像で確認することができるので、普段の食事の姿勢、食物の形態、一口量などを評価することができます。
また、映像では気管の入り口も確認できるので、誤って食事が気管の中にはいっていく、誤嚥の有無も確認することができます。
一般的に、嚥下機能の検査には「嚥下造影検査」が行われています。嚥下造影検査とは、造影剤を入れた食物を食べ、エックス線画像で食べ物の流れ、誤嚥の有無などを確認する検査ですが、レントゲン装置が必要ですので、在宅、施設では実施することができません。
それに対して、嚥下内視鏡検査は、検査機器を持ち運ぶことができるので、在宅、施設での検査が可能です。
当院では、嚥下専門医(大阪大学歯学部 顎口腔機能治療部)と協力し嚥下内視鏡検査を実施しております。

内視鏡 安静時 食物が流れてきた状態